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「コレならできる」を探す【MGプレス連載- 動いて健やかに52】

整形外科一般

年を重ねると体のあちこちに不調が出てきて、若いころできたことができなくなってきます。医者に行くと「無理しないように」といわれ、活動を制限されることも。私が医者になった三十数年前は、膝がすり減ってくると整形外科の医者は「これからは無理に歩かないように」と患者さんに言っていました。しかし歩くことをひかえれば、当然足の筋肉は弱くなります。歩けば軟骨はすり減るけれど、筋肉はきたえられます。近年のさまざまな研究から、膝がすり減ってきても適度な運動をすることはむしろ膝にいいことがわかってきました。膝がすり減っても歩くことにいい点はあるのです。

脊柱管狭窄症になると間欠(かんけつ)跛行(はこう)といって、少し歩くと両足がしびれてきて休まなければいけなくなってきます。では歩いてはいけないか、というとそんなことはなく、毎日歩いてみて、どのくらい歩けるのかを確認することは重要なことです。医者は「アレはダメ、コレはダメ」と禁止する仕事ではなく「コレならできそう」ということを患者さんと探してみる仕事だと私は思っています。あちこちで「無理して歩かないように」といわれ元気がなくなっていたのに、歩くように話したら症状がよくなった患者さんのことを拙著「腰痛は歩いて治す」(講談社現代新書)に書きました。

加齢を認めず痛い時に無理をするのはいけません。加齢を受け入れるのも重要なことです。しかし調子のいいときに適度な運動をすることは決して悪いことではありません。せっかくの人生です。「アレもダメ、コレもダメ」と考えるのではなく「アレならできるかも。コレだったらできそう」と考えた方が楽しいではありませんか。「コレならできる」という発想の患者さんの方が「アレはダメ」という患者さんより病状は必ずよくなります。できなくなったことを悲しむより、まだできることを喜び楽しみましょう。

MGプレス 動いて健やかに52
2024年6月25日掲載

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