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「時を待つ」が最良の場合も

整形外科一般

腰痛の患者さんから「痛くても運動していいの?」と質問されることがあります。拙著「腰痛は歩いて治す からだを動かしたくなる整形外科」(講談社現代新書)の本のタイトルだけをみて「運動をすれば腰痛は必ず治る」と思い込んでいる患者さんです。そんな方には「どんな時も運動がよいとは本に書いてありませんよ」とお話ししています。

「○○をしたら必ず治る」とか「△△が絶対に効く」といったセリフに弱い現代人。現代は「必ず」とか「絶対に」のような断定的で誇張された宣伝がはびこっています。

野生の動物はけがをしたり体調が悪いとき、じっとからだを休めて無理をせず、時間をかけて治します。こういうことは現代人より昔の人の方がよくわかっており、日日(ひにち)(ぐすり)とか(とき)(ぐすり)といって「時間が薬」と考えていました。あくせくした現代人が失くしてしまった大事な考え方です。幼い子供も痛いところがあれば、痛くなる動作は避けて無理をせず元に戻るのを待ちます。それなのに大人になって余分な知識が増えると、こんな簡単なことがわからなくなってしまい、痛いのに無理に動かしてしまいます。

私自身、膝が痛い時がありましたが、自分で診察して「時間がたてばよくなってくるはず」と診断し、膝の筋トレとストレッチをして様子をみました。すると少しずつ痛みが消えていき、数か月かかりましたが元通りになりました。ただし、中には大きな病気やけがの場合もあるので、どんな症状でも、まずは医者に行って必要な診察と検査をすることが大切。そのうえで大きな異常がなければ、「時を味方」にして自然治癒力を引き出すのが賢い痛みの治し方です。人間の体は機械ではない。「時を待つ」のが最良の治療ということもあるのです。日々変わる微妙な体調の変化を察知できるのは自分しかいません。その日の自分の体調に耳をすませて、無理のないように運動をしてください。

MGプレス 動いて健やかに29
2023年5月2日掲載

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