血圧やコレステロールの薬を飲んでいる患者さんはたくさんいます。血圧やコレステロールが高いとなぜいけないのでしょうか。高いままほうっておくと、血管が硬くもろくなって、つまったり破裂したりするからです。心臓の血管に起これば心筋梗塞や狭心症、脳の血管なら脳卒中。内臓や手足の血管が傷んでも大きな病気を引き起こします。
それに比べて、骨がもろくなる骨粗しょう症は「血圧と違って骨だからまあいいや」と考えている人がとても多いのです。「脳卒中や心筋梗塞と違って骨折だから」とか「たくさん薬を飲んでいるから骨粗しょう症の薬まで飲みたくない」という患者さんもいます。骨粗しょう症の患者さんは日本に1500万人いますが、治療を受けているのはそのうち10人に1人なのです。
骨粗しょう症になると太ももの骨や背骨を骨折しやすくなります。問題はここから。太ももの骨を骨折した患者さんと脳梗塞になった患者さんを調査した研究によると、発症1年以降に亡くなる患者さんはなんと骨折の方が多いのです。最近、医者を対象にした骨粗しょう症の勉強会で講演があって、そのタイトルは「骨粗しょう症は死に至る病」でした。つまり骨粗しょう症を治療しないということは、骨折をするとかしないとかいう単純な問題ではなく、命の問題であるということなのです。骨はからだの芯棒。その芯棒がもろくなってしまって、からだが丈夫なままのはずがありません。骨粗しょう症をほっておけば、元気がなくなり寿命が短くなってしまうのです。
60才以上の女性の3人に1人、70才以上では2人に1人が骨粗しょう症になっています。骨粗しょう症になると身長が低くなって背中が丸まってきます。また骨折しやすくなりそれが原因で寝たきりになってしまうこともあるのです。骨粗しょう症は自覚症状がないまま骨がもろくなるので「沈黙の疾患」と呼ばれます。定期的に骨密度検診を受けてみてください。
MGプレス 動いて健やかに90
2026年6月9日掲載
