腰椎という腰の骨はブロックのような形をしていて、それが5つ積み重なっています。横からみるとブロックはきれいに並んでいますが、これがずれてしまうのを腰椎すべり症といいます。40年前に整形外科の医者になって、はじめてこの「すべり症」という病名を知りました。内科や外科の病名と違って「すべり」という、ふつうのコトバが入った病名にびっくりしたものです。
「すべる」には「滑る」と「辷る」という2つの漢字がありますが、滑るはツルツルすべることで、辷るはゆっくりずれてくることをいいます。昔は「辷り症」と難しい漢字を使っていましたが、最近は誰でもわかるようにひらがなを使うのが一般的です。
腰椎すべり症は決して珍しい病気ではありません。X線で検査してみると1割の人に腰のすべりがみつかります。では、すべり症の人がみんな腰痛で困っているのかというと、若い時からすべり症があるのに全く症状がない人もいます。そもそもX線で検査しなければわからないので、自分がすべり症であることを知らずにいる人も大勢いるのです。すべり症は、腰痛などの症状がなければ治療の必要はありません。ましてや安静の必要はなく、むしろ腰まわりの筋肉トレは腰痛予防になります。 すべり症には2つのタイプがあります。ひとつは若い時にスポーツなどが原因で腰椎分離症になり、その後、長年のうちにすべってくるタイプで、分離すべり症といいます。もうひとつが、中年以降になって骨が変形して徐々にずれてくるタイプで変性すべり症といいます。変性すべり症になると、坐骨神経が通る脊柱管が狭くなる脊柱管狭窄症をひきおこします。そうなると足のシビレが出て、少し歩くと足やお尻の張った感じや痛みが出て休まなければならなくなります。こういう症状があれば治療が必要ですので、整形外科を受診してみてください。
MGプレス 動いて健やかに84
2026年2月10日掲載
