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ウオーキングの時の腕【MGプレス連載- 動いて健やかに81】

運動と体操

ウオーキングをどんなふうにしていますか。まず少し歩いてみてください。この時、注目するのは(うで)。歩いている時の腕を確かめてみましょう。

「ウオーキングをするぞ」と意気込んで速足(はやあし)で歩く時は、手でグーを作って肘を曲げ、肩を(いか)らして歩きます。個人差はありますが、この歩き方だと1キロ10分から12分くらいです。今度はゆったりした気持ちで、周りの景色を眺めながら散歩する気分で歩いてみましょう。この歩き方の時は、手のひらはひらいており、力は入っていません。一番違うのは肘です。肘は伸びています。こんなウオーキングだと1キロを歩くのに15分ほどかかります。

つまり「肘を曲げてグーで歩く」と速くなり、「肘を伸ばしてパーで歩く」と遅くなるわけです。どちらの歩き方がいいとか悪いとかというわけではありません。両方の歩き方にそれぞれの効果があります。

まず「肘曲げ急ぎ足ウオーキング」。これは立派なエクササイズです。心肺機能に効果があり、有酸素運動と筋肉増強運動になります。交感神経を刺激してからだを活性化させるので、集中力が高まり気持ちは前向きになります。これに対して「肘伸ばしゆっくりウオーキング」は副交感神経に作用するので、ゆったりした気持ちになり、ゆるやかにからだの調子を整えます。肘の曲げ伸ばしだけで気分が切り替えられるようになります。私の母校の信州大学で開発され、今や世界的にも有名なインターバル速歩は、まさしくこの両方の歩き方をとりいれた運動です

いずれのウオーキングも、「今、ここを歩いている自分」だけを感じることが大切です。過去や未来のことを思い悩んで「心ここにあらず」の状態になると、周りへの注意がおろそかになり、赤信号を渡ったり転んだりしてしまいます。「今の自分」だけを感じていれば、気持ちが落ち着いて体調が整ってくるのです。

MGプレス 動いて健やかに81
2025年12月9日掲載

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