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適度な運動で関節長持ち【MGプレス連載- 動いて健やかに20】

下肢

今回は関節の話。チキンの料理で目にする関節を思い浮かべてください。関節は骨と骨のつなぎ目で、曲げたり伸ばしたりできます。ヒトの足には股関節、膝関節、足首の関節、手には肩関節、肘関節、手首の関節があります。また手指と足趾にも小さな関節があります。首から腰までの脊椎にも、そのひとつひとつに椎間関節という関節があります。人間が動くことができるのは関節のおかげなのです。

関節の表面は軟骨でおおわれています。軟骨はつるつるで滑りやすくなっています。軟骨は、弾力性のあるコラーゲンや、水分を保つ働きのあるヒアルロン酸、プロテオグリカンなどでできています。このため軟骨は衝撃に強く、長年にわたる動きに耐えられるのです。

軟骨には軟骨細胞という細胞があり、この細胞がコラーゲンやヒアルロン酸を作っています。軟骨は血管が少なく血行は決してよくありません。からだの細胞はふつう血管から栄養を受け取るのですが、軟骨細胞は関節液から栄養を受け取ります。ですから正常な関節でも少量の関節液はあるのです。

ところが関節の軟骨がすり減ると、すり減ったことによる炎症が原因で関節液が増えてしまいます。関節が腫れるのはこういう理由によります。このような関節液は、正常な関節液と違って軟骨を壊す炎症物質を含んでいます。ですから関節が腫れたときは、炎症を起こす悪い水を抜きます。そしてヒアルロン酸や炎症を抑える薬を含んだ水と入れ替えるわけです。たとえてみれば、汚れたエンジンオイルをきれいなエンジンオイルに入れかえるイメージです。

関節を長く丈夫に保つには適度な運動が必要。すり減りを過度に用心して動かさないでいると関節は固くなり、軟骨が薄くなってきてしまいます。痛みのない程度に毎日関節を動かして適度な刺激を軟骨に与え、関節のまわりの筋肉をきたえてください。運動が関節を長持ちさせ、老化させない秘訣です。

MGプレス 動いて健やかに20
2022年9月20日掲載

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