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腰痛 無理せずつきあう【MGプレス連載- 動いて健やかに8】

腰痛と坐骨神経痛

腰痛は日本人の4人に1人、2800万人が悩んでいる国民病です。腰痛の原因のほとんどは腰の骨や椎間板、筋肉によるものですが、まれに腫瘍、細菌感染、骨折のような重大な病気であることがあります。また腰以外の原因では内臓や血管の病気、婦人科疾患などがあげられます。

このような重大な原因のある腰痛の患者さんを診察すると特有の痛み方などの危険信号があり、これをレッドフラッグスといいます。レッドフラッグスがないことを見極めることが大切であり、まずは適切な医療機関を受診することをお勧めします。

急性腰痛の多くは、いわゆるギックリ腰といわれるものです。ギックリ腰はレントゲン検査をしても異常は見つからないことがほとんどです。重いものを持ちあげて発症することもありますが、洗顔のために少しかがんだだけで痛くなったり、首の寝違えのように朝起きたら原因もなく痛くなっていたということもあります。

もしギックリ腰だとしたら、まずあわてないこと。痛みがあると、とかく「何かしなければいけない」と焦ってよけいなことをしてしまうものです。痛いのにゴリゴリと力まかせにもんだりすることはお勧めできません。

消炎鎮痛薬は急性腰痛には効果があり、ガイドライン(医者の治療指針)ではもっとも推奨すべき治療法にあげられています。よく「痛み止めならいらない」という患者さんがいますが、多くの医者が腰痛になってまず使うのは消炎鎮痛薬なのです。消炎鎮痛薬には「炎症を抑える」という重要な作用があります。一昨年(2019年)行われた第100回信毎健康フォーラム「脚、腰の痛みとつきあう」でも、私を含めた3人の医師全員がもっとも効果的な治療法として消炎鎮痛薬を挙げました。

腰痛になっても、あわてずに無理のない範囲でからだを動かすこと。先人は「日薬」といって「時間が治す」ということを理解していました。古来の知恵と現代の治療法のよいところを取り入れて焦らず治しましょう。

MGプレス 動いて健やかに8
2021年10月19日掲載

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