HOME > 病気を調べる > 下肢 > アキレス腱も大切に【MGプレス連載- 動いて健やかに56】

整形外科の情報を発信 病気を調べる

アキレス腱も大切に【MGプレス連載- 動いて健やかに56】

下肢

立っている人を棒に見立てると、棒が地面につくところが(かかと)です。つまり踵は人を支える土台。体の向きを変える軸でもあり、後ろ向きになって引き返すことを「(きびす)を返す」といいます。この(かかと)とふくらはぎをつなぐのがアキレス腱。ギリシア神話の英雄アキレスの唯一の弱点がこのアキレス腱です。「日本は経済大国だが食料自給率が低いのがアキレス腱」などと、弱点のことをいうことがあります。

筋肉の端っこは骨につきますが、骨につく手前で丈夫な腱に変わります。腱は強いひっぱり力にも耐えられます。その腱の中でもアキレス腱は人体最大の腱です。歩いたり走ったりジャンプをしたり、人間が立って動く時にとても重要な腱です。

中高年になるとアキレス腱の柔軟性が乏しくなり切れやすくなります。準備体操をしないで急に走ったりするとアキレス腱が切れてしまいます。アキレス腱が切れる時は、ふくらはぎをバットで殴られたようなバシンという大きな音がします。またコレステロールの高い患者さんは、皮膚の下にコレステロールがたまることがありますが、特にアキレス腱にはコレステロールがたまりやすいのです。また、がっしりとした体格の人は、アキレス腱が踵につくところに(こつ)(きょく)という骨の棘が出てくることがあり痛みを伴います。

腱に炎症が起こるのが腱鞘炎で、手の腱鞘炎が有名ですが、アキレス腱の炎症はアキレス腱炎といいます。アキレス腱炎になると歩いたり走ったりする時に、アキレス腱に痛みがでるようになり、触ると痛みが走ります。ひどくなると腫れたり赤くなったり、アキレス腱にグリグリができることもあります。

炎症を抑える注射をしたり装具をつけたりして治療します。気になってゴシゴシもんでしまうのはよくありません。体の軸であるアキレス腱にもたまに気を使って、ゆっくりストレッチをしてみてください。

MGプレス 動いて健やかに56
2024年8月27日掲載

→ MGプレス連載情報はこちら


一覧へ戻る