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原因不明の痛み 焦らずに【MGプレス連載- 動いて健やかに54】

下肢

これといった原因もなく急に膝が痛くなり、医者に行ってレントゲンを撮ったら「異常はないです」といわれ、湿布や痛み止めをもらった経験のある方は多いと思います。

膝を無理に使わなくても痛くなることがあるし、膝を酷使しても痛くなるとは限りません。運動のし過ぎとか使いすぎとは決めつけられません。逆に運動不足でも膝に故障を起こす人はいます。これは膝だけではなく、ほかの関節痛や腰、くび肩の痛みも同じで、原因がはっきりしない痛みはとても多いのです。医学は日々進歩していますが、それでも痛みの原因がわからないことがあります。医者は原因を突き止めるために診察とさまざまな検査をしますが、それでも原因が必ずわかるとは限らないのが現在の医学の限界なのです。

私も還暦の少し前から、あちこちの関節や肩、腰が痛むようになりました。原因がわからずしばらくするとよくなることもありますが、数か月以上痛みが続くこともあります。日常生活ができなくなるようなひどい痛みではないのですが、ちょっとした動作の時の痛みがあり気になります。これがなかなか治らないのです。整形外科医の私が自分自身を診察してみると、やっぱりはっきりした原因はわからない。しばらく痛みが続くと、この痛みはいつまで続くんだろう、とちょっと心配にさえなってきます。

痛みがあると、どうしてもその原因を考えてしまいます。でも原因はわからないこともある。だから「アレが悪かった」「コレがよくなかった」と考えても仕方がないのです。無意味な反省を繰り返すのではなく、まずは焦らず受け入れること。受け入れることは決して諦めるということではありません。気にすれば気にするほど痛みは強く感じられます。医者に行って重大な病気がないことがわかったら、痛くてもできることを考え日々を過ごす。そうしているうちに症状は必ずよくなっていきます。

MGプレス 動いて健やかに54
2024年7月30日掲載

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