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健康のための強迫に注意【MGプレス連載- 動いて健やかに49】

整形外科一般

「健康のためなら死んでもいい」というブラックジョークがありますが、健康のために過度に気を使い、心をすり減らしてしまうのは本末転倒です。現代人は子供のころから決めたことを一生懸命やるように学校で教育されてきたので、大人になってもずっとまじめのまま。運動も「これがよい」といわれたら毎日欠かさずやり、「今日はさぼりたい」なんてことは考えません。用事があって運動できない日は一日中すごく気になって、気が休まりません。ある患者さんは「毎日、歩数計が八千歩になるまで落ち着かない」と言っていました。私自身も、晴れた日曜日に日向ぼっこをしていると、このままずっとごろごろしていたいと思う一方、日課の運動をしていないと気がかりで、夕方になってから意を決してウオーキングにでかけることもあります。

このように、運動習慣が、知らず知らずこころの負担になっていることがあります。楽しく運動をするのではなく、こころの負担を取り除くために運動するというのでは、いくらからだによくてもメンタルにはよくありません。

あげくのはては「今日は体調が悪いけれど、決めたことだからウオーキングをする」という患者さんがいますが、それは健康にとっては逆効果。頭でっかちの現代人は「調子の悪いときは休む」というごく当たり前のことができなくなっています。

脅迫(きょうはく)」は(おど)かすという意味ですが、同じ発音で「強迫(きょうはく)」というのがあります。強迫は、ひとつのことに(こだわ)りそれにこころを支配されてしまうことです。症状が強くなると強迫神経症といってメンタルの治療をしなければいけなくなります。

自分の体と心に耳を傾けて、余裕をもってゆるく物事を考えましょう。自動車のハンドルにも遊びがあります。遊びがないハンドルは事故を起こしやすいのです。人生に遊びをもって、運動を生活に取り入れてください。

MGプレス 動いて健やかに49
2024年4月30日掲載

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