患者さんから「冷たい湿布と温かい湿布、どっちがいいの?」とよく質問されます。
貼り薬にはパップ剤とテープ剤の2種類があります。パップ剤は白い色で厚みがあり、テープ剤は茶色で薄いのが一般的。パップ剤の貼る面は、濡れたようにべとっとして水分が含まれているので冷たく感じます。テープ剤は湿り気がないのでほとんど冷感がありません。湿布は「湿った布」と書くので本来パップ剤のことですが、貼り薬全体を湿布ということもあります。
貼り薬には炎症を消す成分が含まれていて、これが皮膚から浸み込むのが痛みに効く原理です。これに加えて貼り薬にメンソールやハッカのようなスースーする物質が含まれているとヒヤッとした冷感がします。またトウガラシエキスなどが含まれているとホカホカと温感を感じるのです。一般に冷やすと炎症は抑えられ、また温めると血流がよくなり発痛物質が洗い流され筋肉がほぐれます。
温感と冷感の貼り薬の使い分けの基本は「急性期は冷やす。慢性期は温める」です。足をくじいたり、急に痛みが出た場合は最初に冷やします。これに対し慢性の腰痛や肩こりは温めるのが効果的です。
ただ貼り薬の「冷感」はあくまで「冷たく感じる」だけで、本当に「冷たい」のとはちょっと違います。ケガをした直後は、冷水や氷で物理的に傷めた場所の温度をさげることが必要です。「温感」も同じで、しっかり温めるにはカイロやホットパックを使ったり、筋肉まで到達する電気や赤外線が必要になります。
ただしこれはあくまで原則です。患者さんによって、症状によって、同じ患者さんでも状態によって、それぞれ微妙な使い分けがあります。痛みがではじめたばかりの時でも、温かいお風呂で少し温めると痛みが和らいだりすることはあります。それぞれの場面に応じて、自分に一番適した使い方を選んでいくことが大切です。
MGプレス 動いて健やかに68
2025年4月15日掲載