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健康長寿は丈夫な骨から【MGプレス連載- 動いて健やかに67】

骨粗しょう症

7才の男の子が転んで手をついてしまい、手首が腫れてきたので私のクリニックを受診しました。X線では骨がほんの少しゆがんでいますが完全に折れてはいません。このようなこどもの骨折を若木(わかぎ)骨折といい、英語で「緑の枝(グリーン・スティック)骨折」いいます。

大人の骨とこどもの骨は違います。枯れ木を折るとポキッと二つに分かれますが、緑の生木(なまき)を折ると二つには別れないでつながったまま。大人の骨が枯れ木で、こどもの骨は生木です。こどもの骨折は大人と比べてとても早くくっつきます。早ければ1~2週間。ところが大人の骨折はたいてい1~2か月かかります。

骨は成長期から20代にかけて人生で最も強い骨になりますが、40代から早くも老化がはじまります。特に女性の場合、更年期を過ぎて閉経を迎えると急激にもろくなってきます。トイレットペーパーの(しん)に例えて、骨の老化を説明してみます。芯は厚紙でできています。骨が老化すると、芯の直径は大きくなるのに、厚紙の厚さが薄くなってくるのです。

よく「量より質」、なんていいますが、骨の強さには質と量の両方とも重要です。骨の質と量をそれぞれ骨質、骨量といいます。生木が枯れ木になるのが骨質の劣化、トイレットペーパーの芯の厚さが薄くなるのが骨量の減少。骨が老化すると骨質は劣化し骨量は減少します。これが骨粗しょう症です。 骨の質と量のどちらが悪くなっても骨折を起こしやすくなりますが、ただ骨折が起こりやすくなるだけではないのです。問題なのは骨粗しょう症になると寿命が短くなるということ。「内臓と違って骨と寿命が関係あるの?」と疑問に思う人もいますが、骨はからだの芯棒、骨は生きているのです。骨はからだを調節するさまざまな物質を作り出し、高齢者が骨折すると全身に影響します。骨を丈夫にすることが健康で長生きをするための第一歩なのです。

MGプレス 動いて健やかに67
2025年3月25日掲載

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