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筋肉が作り出す治療薬(MGプレス 動いて健やかに14)

運動と体操

運動をすると筋肉はきたえられ強くなります。でも、「しょせん、筋肉は筋肉だけのこと」と考えている人も多いと思います。昔は運動ばかりしていると「脳みそまで筋肉になっちゃうぞ」なんて冷やかされて、筋肉はとても不当な扱いをされていました。ところが事実は大違い。

最近の研究で筋肉は多くの臓器に作用して、抗がん、抗加齢、抗うつ作用や免疫力の増強など、多くの働きがあり、さらに寿命を延ばす効果があることがわかってきたのです。

なぜ筋肉にそんな働きがあるのでしょうか。筋肉をきたえると筋肉からマイオカインという物質がからだ中に出されます。マイオは筋肉、カインは作働という意味で、筋肉から出てほかの臓器に作動する物質という意味です。マイオカインは一種類ではありません。現在わかっているものだけでも十数種類があります。その中には認知症を予防するもの、炎症のおさえるもの、痛みを少なくするものなど、いくつもの種類があります。

だから運動をすることは筋肉をきたえるということだけではなく、からだ全体のためになるのです。このようにからだのさまざまなところではたらくマイオカインは、まさしく自然が作り出す体内治療薬のようなものです。「運動はどんな薬にも匹敵する」というのはそういう事なのです。

マイオカインは最近とてもクローズアップされてテレビや雑誌などでも多く取り上げられています。ネットで調べればたくさんのことがわかりますので、ぜひ検索してみてください。しかし残念ながらまだマイオカインの検査は保険が効きません。ですから保険診療でマイオカインがどのくらいあるかどうかを調べることはできません。しかしからだを動かせば、筋肉からマイオカインが出てきてからだ中を駆け巡ります。からだを動かして、からだが活性化され調子がよくなるのを実感してみてください。爽快になるのは気持ちだけではなく、からだ自体も確実によくなっているのです。

(MGプレス 動いて健やかに14 2022年3月29日掲載)

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