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体の芯棒 骨粗鬆症予防を【MGプレス連載- 動いて健やかに30】

骨粗しょう症

整形外科は外科の一分野なので手術は重要な仕事の一つ。私も開業までの二十数年間の病院勤務医時代、数千例の手術をしてきました。多くの腰や関節の手術をしましたが、整形外科の代表的なものといえば骨折の手術です。

骨粗鬆症になると骨がもろくなり、太もものつけ根や腰の骨が骨折しやすくなります。実際に骨粗鬆症の患者さんにメスを入れると、骨はまるで卵のカラのように薄くて割れやすくなっています。だから骨粗鬆症では些細なことで簡単に骨折してしまうのです。布団を持ち上げただけで腰を骨折したり、普通に歩いていたら股関節が痛みレントゲンで折れていたという患者さんもいました。
骨折という「その時」は急にやってきます。30年かかってゆっくり骨が脆くなっても骨折は一瞬です。そうして骨折するとその後の平均寿命が短かくなってしまうのです。高血圧の患者さんは、症状が何もなくても脳卒中や心筋梗塞を予防するために薬を飲みます。骨も同じ。折れてからは遅いのです。

骨粗鬆症になると腰の骨がつぶれる圧迫骨折になりますが、本人が知らないうちに徐々につぶれることがあり、無症候性骨折とか「知らないうち骨折」と呼ばれます。知らない間に圧迫骨折が起こっていると身長が低下してきます。背中が曲がってくると心臓や肺の機能が低下します。骨はからだの芯棒。その芯棒がもろくなれば、たとえ骨折していなくても骨がきしんできます。するとそのきしみが慢性の腰痛だけでなくさまざまな病気を引き起こす原因になります。また骨が脆いと関節や脊椎の手術が大変難しくなります。

「血圧は大切だけど骨はまあいいか」と思うのは大きな間違い。骨粗鬆症は日本人の10人に一人がなっていて、40歳以上の女性では4人にひとりの骨密度が低下しています。骨粗鬆症の予防にはバランスのよい食事と適度な運動が重要。さらに最近のお薬の進歩により骨粗鬆症は治る病気になってきました。

MGプレス 動いて健やかに30
2023年5月23日掲載

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