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痛みによって人工関節も【MGプレス連載- 動いて健やかに73】

下肢

60代の患者さんから「(ひざ)が痛い友達が人工関節をやったんだけど、どんな手術?」と質問されました。膝や股関節がすり減って痛みだすと、歩くのがおっくうになってきます。すると足だけの問題ではなくなり、運動不足で体全体が弱ってきてしまいます。そこですりへった関節を、金属や特殊なプラスチックでできている関節に入れ替えるのが人工関節置換(ちかん)術。私も病院勤務医時代、数百人の患者さんに人工関節を執刀しました。

誰だって手術がいやなのは当たり前。手術せずに治るのならそれにこしたことはありません。手術以外に方法があれば医者だってそれを選択します。でも手術が最善の選択肢なら、「いや」と決めつけず考えてみる価値はあります。

人工関節はどんな患者さんがするのか。きっと医者がエックス線をみて決めるんだろう、と思っている方も多いと思います。もちろんエックス線やMRI検査も重要ですが、「患者さんが痛みでどれだけ困っているか」ということが手術の決め手になります。安静にしていても痛んだり、歩く時に一歩一歩ズキズキ痛い、これらは手術を考えてもよい症状です。関節がすり減っていても、痛みがなくて生活に困らなければ様子をみていいかもしれません。今の時代、患者さんがいやなのに無理に手術するなんてことはありません。

「手術の後は歩かないようにした方がいいですか」という質問を患者さんからされますが、人工関節は痛みをとって、今よりも快適に歩きやすくすることが目的。外出がおっくうだったのに、手術をして痛みがとれ海外旅行に行けるようになったという患者さんもいます。さんざん迷っていたのに、手術の後「もっと早くやっておけばよかった」という患者さんもいました。中信地方には人工関節の手術ができる病院がいくつもあります。わからないことがあればまずは整形外科を受診してみてください。

MGプレス 動いて健やかに73
2025年7月22日掲載

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