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「できること」考え運動を【MGプレス連載- 動いて健やかに4】

腰と坐骨神経痛

脊柱管(せきちゅうかん)は首から腰までつながっていて、その中を神経が通っています。脊柱管は加齢とともに狭くなります。最も多い腰の脊柱管狭窄症では両足にしびれや痛みがでます。この痛みしびれを坐骨神経痛といい、歩くと坐骨神経痛がでるのが間欠(かんけつ)跛行(はこう)です。間欠跛行は脊柱管狭窄症に特徴的な症状です。

では、狭窄症の人は歩いてはいけないのでしょうか。ともすれば「歩いたら病気が悪化する」と考えがちですが、最もよくないのは、痛みが出るのを心配して歩かなくなること。狭窄症は治療によってよくなりますが、ひとたび足の筋肉が萎えてしまったら、廃用症侯群といって、いくら狭窄症が治っても歩けなくなってしまうのです。

狭窄症の症状は日によって変わります。「どれだけ歩くと痛みやシビレが出るのか」を毎日確認することが大切。「昨日は100メートル歩いたらシビレが出たけれど、今日は500メートル歩いても大丈夫」というように、自分のからだを自分自身でモニタリングしてください。では「痛くても歩いていいのか」というと、決してそうではありません。痛みやしびれが出たらすぐにいったん休んでください。そして休めば症状がとれることを確認してください。「痛み」はからだからの重要なシグナルです。

診察室でよく聞かれるのが、「してはいてはいけないことは何ですか」という質問。腰痛の時にしてはいけないことは「『してはいけないこと』を考えること」です。「してはいけないこと」ではなく「今の私でもできること」を考えてみましょう。「完全に治ってから運動する」という患者さんがいますが、それでは痛みは取れません。「治ってから動く」のではなく、「動いて治す」のです。狭窄症は加齢と密接に関係しています。MRIを撮ると中高年の8割以上に、程度の差はありますが狭窄がみられるという研究結果もあります。狭窄症という病名を過度に恐れることなく「今、できること」を考えて、まず一歩を歩き出しましょう。

MGプレス 動いて健やかに4
2021年6月29日掲載

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