足のつけねの骨折で人工関節(人工骨頭)の手術をうけた場合
足のつけねの骨折を大腿骨近位部骨折といいます。大腿骨近位部骨折は骨折の場所によって大腿骨頚部骨折や大腿骨転子部骨折などに分けられます。
この大腿骨骨折が原因で、人工関節(人工骨頭)の手術を受けた方は、手術後の骨粗しょう症の治療がとても重要です。
このような大腿骨の骨折のほかにもう一大きな骨折に脊椎の圧迫骨折があります。大腿骨と脊椎圧迫骨折、これらの骨折をすると、たとえ骨密度が高くても骨粗しょう症と診断されます。このことは骨粗しょう症のガイドラインで決まっているのです。
このため大腿骨骨折および脊椎圧迫骨折の患者さんは骨折の治療後、骨粗しょう症の治療が必要です。ところが現在、これらの骨折の後、骨粗しょう症の治療が行われず、第2、第3の骨折を引き起こすことが問題となっています。
これらの骨折をしたことがあればぜひ骨粗しょう症の治療を受けることをお勧めします。
骨折ではないが人工股関節や人工膝関節の手術を受けた場合
人工関節の手術は、すり減ったひざや股関節を、金属製の関節に取り換える手術です。この手術によって、ひざや股関節の痛みがとれます。
しかし、あくまで人工の関節ですから、手術をしてその後はやりっぱなし、というのはよくありません。重要なのは、むしろ手術後のケアです。人工関節を入れても、その土台となる骨の質が悪いと、人工関節がゆるんだりしまったり人工関節の近くで骨折をしたりと、さまざまなトラブルが起こります。
そのためには定期的に骨の状態をしっかり検査する必要があります。骨密度は、腰椎、大腿骨、手、足などで測ることができますが、重要なのは腰椎と大腿骨の骨密度です。学会やガイドラインでは、腰椎と大腿骨での計測が勧められています。そして骨密度が低い場合は、骨粗しょう症の治療をすることが重要です。
骨折ではなくても、人工関節の手術を受けた方は、腰椎や大腿骨の骨密度を測定して、人工関節が長持ちするようなケアが必要です。