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変形性膝関節症でひざが痛いときは歩かない方がいいのか?

下肢

変形性膝関節症という病気

50歳ころから誰でもひざの軟骨は徐々にすり減ってきます。2本足で歩く人間の宿命であり、関節がすり減ってくる状態を変形性膝関節症といいます。女性では60歳で6割、70歳で7割の人が変形性膝関節症になります。

変形性膝関節症の関節の中で起こっていること

関節の軟骨には、軟骨細胞という細胞が無数にあって、この軟骨細胞が日々、軟骨を作り出しています。

軟骨細胞は、ある程度の刺激がないと元気がなくなり、軟骨を作る能力が落ちてしまいます。

むかしの整形外科医の指導

整形外科では、以前はこのような患者さんには「歩くとすり減るから、もうあまり歩かないように」と指導することが多かったのですが、最近の研究では、決してそうではないことがわかってきました。

変形性膝関節症でも歩いた方がいい理由

ですから、ひざの運動をするのはもちろん、痛みが強くならない限り、ウォーキングや体操をして膝を活性化させることがとても重要なのです。

適度な運動や歩行が関節に刺激を与え、周囲の筋肉の血行もよくなり軟骨や骨も活性化されます。

そればかりか運動や適度は、関節の痛みにとても効果があるのです。運動が、膝の痛みに対して鎮痛薬と同じくらい効果があったという研究結果も出されています。

そのほかの治療と比べて

膝の治療には痛みに対してのお薬や、関節の中の炎症を抑えるお薬があります。関節内に注入して関節軟骨を保護するヒアルロン酸などさまざまなものがあります。

しかしそれらの治療の同じくらい、「歩くこと」つまり運動は重要なことなのです。

患者さんからの質問

患者さんから「軟骨がすり減っているのに歩いていいのですか。ますます軟骨が減ってしまうのではないでしょうか」と聞かれます。

すり減った関節で、歩いたり運動をするといけないように感じますが、実はそうではありません。関節はもともと動かすためにあります。足は歩くためにあるのです。膝を大事にしすぎるあまり、歩かなかったり動かさないでいると、関節の血行や潤滑が悪くなってきます。

「ひざがすり減るからなるべく歩かない」などといっていては、ますます全身の筋力も落ちてしまいます。こわがらず運動をしましょう。

注意すること

ただし痛みの強い時や、膝に明らかに水がたまった時などは無理して歩かないように。一歩一歩痛いようなときは軟骨がかなりいたんでいるか、炎症が起こっています。そのようなときは無理のないようにして整形外科を受診することをお勧めします。


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