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ひざに水がたまった時は抜かない方がいいの?

下肢

どういう時にひざに水がたまるのか?

ひざをいためると、ひざがはれたり水がたまったりすることがあります。関節に水がたまることを関節水腫(かんせつすいしゅ)といいます。

またけがをすると、水ではなく関節の中に血がたまることもあります。これを関節血腫といいます。

加齢に伴ってひざの軟骨がすり減ってくる変形性膝関節症になると、ひざが腫れて、関節水腫が起こることがあります。

関節水腫の原因

ひざの軟骨がすり減ってきてひざの関節が炎症を起こすのが原因です。それほど軟骨がすり減っていない年齢でも、関節の中のクッションである半月板がいたんだりするとひざの関節が炎症を起こすことがあります。するとやはり水腫の原因となります。

関節の内側には滑膜といううすい膜があります。関節が炎症を起こすと、この滑膜から関節液がどんどん産生されてしまうのです。

関節にたまった水はどういう水か?

たまった関節液には、サイトカインと呼ばれる炎症物質がたくさん含まれています。この炎症物質が、さらに炎症を呼び関節の腫れを長引かせます。

またこれらの炎症物質は関節軟骨をいためて溶かしていってしまいます。

関節に水がたまったらどうすればいいか

このような時には、炎症物質を含んだ関節液の代わりに、軟骨を保護したり炎症を止める作用のある液体に置きかえる治療があります。

自動車のエンジンオイルに例えるとお話が分かりやすくなります。関節が炎症を起こしてたまっている水は正常な水ではありません。いわば「炎症物質を含んだ汚れたエンジンオイル」です。

自動車の汚れてしまったエンジンオイルはますますエンジンをいためます。炎症物質がある関節液が関節をいためるのと同じです。

このためにはきれいなエンジンオイルに入れ替えなければいけません。

ヒアルロン酸注射について

ヒアルロン酸という物質は軟骨の成分であり、また関節液の中にも含まれていて軟骨を保護します。変形性膝関節症の関節液を調べてみるとこのヒアルロン酸が減っています。

炎症物質を取り除きヒアルロン酸を補給するために、関節にたまった水を抜いてヒアルロン酸をかわりに注入すると関節の軟骨の保護に役立ちます。

きれいなエンジンオイルオイルにいれかえるのと同じです。

水を抜くとくせになるのか?

「水を抜くとくせになる」という言い伝えがありますが、整形外科医の中でそのようなことをいう人はいません。「水を抜く」というよりは「よごれた水をきれいな水にいれかえる」という発想なのです。


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