怪我をしたわけでもないのに、急に足が痛くなり赤く腫れてきた中年男性の患者さん、足をちょっと動かしても激痛が走ります。これは典型的な痛風の症状。急に痛くなるので痛風発作といい、発作の時は「風がそよいでも痛い」といわれます。足の母趾(おやゆび)の付け根が熱をもち腫れるが一番多いのですが、足首や足の甲、膝や手が腫れることもあります。痛風発作の時はこのような関節に急性炎症が起こっていて、関節の水には尿酸の結晶が出てきます。この結晶が痛みをひきおこす原因です。
痛風は血液の尿酸が高くなると発症します。尿酸はたんぱく質の一種のプリン体の代謝産物で7以下が正常ですが、正常値でも発作を起こることがあります。痛風は男性に圧倒的に多く食生活や運動習慣と関係があります。仕事で食習慣が違う欧米へ出張に行くと必ず痛風発作をおこすという患者さんがいます。またアルコールも痛風の原因と考えられています。ではアルコールを飲んだら絶対だめかというとそうではなく、急に大量のアルコールを飲むと発作が出やすいのです。また運動不足の人が、急に激しい運動をしても発作が起こります。疲れやストレスがたまっても痛風になりやすい傾向があります。
痛風を治療する尿酸を下げる薬がありますが、発作の最中にその薬を飲みはじめると痛みがさらに強くなってしまいます。だから発作の時はまず消炎鎮痛薬で痛みを落ち着かせてから痛風治療薬をはじめます。痛みがなくなると薬をやめてしまう患者さんが多いのですが、発作を繰り返していると関節を傷めることがあります。また尿酸が高いままだと腎臓を傷めることがあり、これを痛風腎といいます。痛風の予防には生活習慣の改善が一番。からだを動かし適度な運動を生活に取り入れること、プリン体の多く含まれる食べ物や大量のアルコールを避けること、ストレスをためないことが重要です。
MGプレス 動いて健やかに55
2024年8月13日掲載