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「マインドフルネス」活用(MGプレス 動いて健やかに3)

運動と体操

腰痛や肩こりなどのからだの不調があると「原因はなに?」、「いつまで続くの?」という「過去へのこだわり」と「未来への不安」を考えてしまうのは当然。悩み事はこころにひっかかり、同じことが頭の中をぐるぐるまわります。ウォーキングは腰痛や肩こりにいいのですが、こんなことを悩みながらウォーキングをしても「こころ、ここにあらず」で、気がついたらどこを歩いていたのか思い出せない。これではせっかくウォーキングも効果半減です。

過去と未来にこだわらず、「今の自分」だけをみつめることを「マインドフルネス」といい、禅や瞑想に似ている精神療法です。これが近年、消化器などの内科疾患や腰痛肩こりのような慢性疼痛の治療にも応用されています。このマインドフルネスをウォーキングにとりいれたのが拙著「腰痛は歩いて治す」(講談社現代新書)で紹介したマインドフルネス・ウォーキングです。「瞑想しながら歩いていたら危ないじゃないか」と考える人がいますが、そうではありません。「現在の自分だけに集中する」のですから、目の前でおこること、信号や自動車にも集中でき「心ここにあらず」の状態でぼんやり歩くのとちがってもっとも安全なウォーキングです。

さて具体的なその方法です。まず背すじを伸ばして肩の力を抜いてください。前を見てうでを振ってウォーキングをはじめます。体の不調のある人も「過去へのこだわりと未来への不安」を横に置いて「今」の自分だけを感じてください。

コロナ禍でも密にならない公園や川べりでのウォーキングなら安全です。少し早めの速度で、ウォーキングが終わった後、息がはずむくらいの速さで歩いてみてください。過去と未来、つまり「原因と行く末」を一切考えず、今の自分だけを感じて心静かにひたすら歩く。「自分が見えるもの」「自分が感じるもの」だけに集中して歩きます。そうすれば気分もよくなり、きっと腰痛や肩こりは軽くなっていきます。

(MGプレス 動いて健やかに3 2021年6月1日掲載)

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