「検査の結果はどうですか。やはり手術が必要ですか」

整形外科全般

患者さんから「先生。検査の結果はどうだったでしょうか。やはり手術が必要でしょうか」と聞かれることがあります。

胃カメラで胃や食道の病気が見つかったような場合は、患者さんにまったく症状がなくても、その検査結果で治療方針が決まることがあります。
しかし整形外科の病気は、患者さんが痛みなどの症状で困っているかどうかが、手術をするかどうか決めるのに一番重要な根拠になります。
ですから検査所見がすべてを決めるわけではないのです。
だから患者さんは、「検査任せ」や「お医者さん任せ」にせずなく、治療方針について自分の考えをはっきり言って下さい。
自分の考えが、治療の方法に大きく反映できるのが整形外科の特徴です。
ところがこの決定権を、はなから放棄している患者さんがいます。
このことは私の著書「腰痛をこころで治す 心療整形外科のすすめ」(PHPサイエンス・ワールド新書)に詳しく書きました。そこからの抜粋です。

ある医師が患者さんに
「検査ではヘルニアがありますが、それほど大きくありません。痛みが強くなければ手術をせずブロックなどで様子をみましょう。ただし痛みが強くがまんできないなら手術を考えます。では、現在の痛みはどうでしょうか」
と尋ねました。すると患者さんは
「さあ、どうでしょうか。手術をするかしないかは先生が決めてください」との答え。
医師は困って
「いや、そうではなく、手術をするかしないかは、痛みがどれだけ強いかどうかということで決まります」というと、患者さんは
「私は素人だからわかりません。先生の言う通りにするから先生が決めてください」
さて、これでは患者さん本人がどう感じているかわからないので、再度
「では、今の痛みはどうなのでしょうか」と医師が聞くと
「さあ、どうなんでしょう。難しいことはわかりません」といった具合です。

実際にこんな患者さんが決して少なくないのです。このすれ違いのような会話の原因は何でしょうか。
患者さんは医師に遠慮をしています。
遠慮の原因は、医学という難しい分野に素人が関与できるわけがないという思い込みです。しかしこれではまるで思考停止状態です。すべてを医師に任せてしまっているのです。
だから患者さんは、世界中で、ただひとりの自分にしかわからないはずの自分の痛みまでわからなくなってしまっているのです。
欧米に比べて日本の医療は父権的であるといわれています。昔から日本では医師が決めて患者さんが従う、という医師・患者関係がふつうでした。しかし患者さんはすべて医師任せにしないで自分の意見を言って、医師と一緒になって治療の方法を考えていくことが重要です。