痛みを運動で治す

くびと肩, リハビリと運動療法, 動かして治す, 治療, 腰痛と坐骨神経痛, 腰痛と運動

腰痛のある患者さんに聞かれました。

「先生、運動はどれくらいやってもいいですか?」

腰痛や肩こり、膝の痛みがある時に、どれくらい運動をしたらいいかがわからないので心配、というご質問です。
「からだを動かす」ということは人間にとってとても重要なことです。それはからだに痛みがある時も同じです。
たとえば肩こり。首や肩が痛いので動かすのがおっくうになります。すると筋肉はさらに硬くなり血行も悪くなります。血行が悪くなれば痛み物質も蓄積してさらに痛みが増します。この悪循環を断ち切るのが「運動療法」です。天井を見るように大きく首をそって肩甲骨の内側が近づくように背中も思い切りそらしてみます。肩を上げ下げする運動も効果的です。腰痛なら、腹筋と背筋の運動です。

詳しい運動の方法はPHPサイエンス・ワールド新書から出版された私の本「腰痛をこころで治す -心療整形外科のすすめ」に図解入りで書かれています。このような運動を行うと、血行がよくなり筋肉が再生されてきます。

「運動をした次の日、体じゅうの筋肉が張ってしまいますが、大丈夫でしょうか」
と尋ねる患者さんもいます。

むしろ筋肉が張るような運動でなければ意味がないのです。だから次の日に体が張るのは「よい筋肉の痛み」なのです。
スポーツ選手だって、日々筋肉をきたえますよね。筋肉ができる時、筋肉は張ってくるのです。こんなことは当たり前のことで、昔はみんな知っていました。ところが最近、診察をしていると、このような筋肉痛でさえ「病気ではないか」と心配するひとが激増しているのです。筋肉訓練による自然な痛みでさえ病気ではないか、と神経症的にとらえるようになった現代人の特徴的な傾向だと思います。からだに優しいことばかりがよいことだと教え込まれた現代社会のひずみを感じます。
体に負担をかけずに、翌日筋肉が張るような運動をしないと筋肉は徐々におとろえていきます。筋肉も骨も、大事にすればするほど弱ってしまい、使えば使うほど丈夫になっていくのです。年をとった時に筋肉量が少なくなっていると寝たきりになってしまいます。

だから私はよく「簡単な体操や散歩ではなく、ちょっと汗ばむような、ちょっと息がはずむような運動を時々してください」とお話ししています。
もちろん、腰痛や肩こりが非常に強く、動くのもままならない時は少しよくなるまで無理はいけません。でも少しよくなってきたら運動はとても大切なのです。