その痛み、本当に神経痛だけが原因?

くびと肩, 坐骨神経痛, 整形外科全般, 肩こり, 腰痛と坐骨神経痛

坐骨神経痛は、腰の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が原因となって、おしりから足にかけての痛みが出ます。坐骨神経痛は右か左の片方のことが多いのですが、両方の足が痛くなることもあります。
だから坐骨神経痛の患者さんはたいてい狭窄症とか椎間板ヘルニアと診断されます。治療としては消炎鎮痛薬やブロック療法がありますが、なかなかよくならないことも多いのです。

この足の痛み、本当に腰や神経だけが原因なのでしょうか。

足でもっとも容量として大きいのは筋肉です。そして筋肉は、筋肉を包む筋膜という袋、筋肉の両端にある腱(けん)などさまざまな構成物によって成り立っている複雑な組織なのです。

坐骨神経痛と思われていた患者さんをよく診察してみると、太ももの後ろから外側の筋肉がかちかちにつっぱっていることがあり、そこを押すと痛みが出ることがあります。

このような時は、「坐骨神経痛だけ」という思い込みを捨てて、神経痛に加えて筋肉という面からも治療をしてみると、とてもよくなる患者さんが多いのです。
同じように肩から手にかけてのしびれや痛みは、首から出ている神経が原因と考えられることが多いのですが、首から手の先までの筋肉やスジの異常という視点も加えて治療を行うと症状がかなりよくなる患者さんがいます。

手足には骨、関節、血管、神経、筋肉などさまざまな組織があり、それぞれが複雑にからみ合っています。骨や脊椎が原因で神経痛が障害されても、神経は筋肉に延びているので、筋肉にも病気が出てくるのです。
ところが整形外科では昔から伝統的に骨と関節を重視して詳しく診るという習慣があります。私は以前から整形外科では骨と関節を詳しく調べる割に、筋肉についてはあまり研究されていないな、と実感していました。
多くの大学の整形外科でも、関節や脊椎はとても詳しく研究されているのですが、筋肉についての研究はほとんど行われていません。肩こりは代表的な筋肉痛ですが、肩こりが重要視されず研究されてない理由です。

しかし肩こりは患者さんにとって、とても苦しいもので、痛みのため仕事の能率も落ち、日常生活にも大きな支障をきたすようになります。「たかが肩こり」では決してないのです。肩こりの患者さんの肩をよく診察すると僧帽筋という肩の筋肉の中に「痛みの核」であるビー玉のようなトリガーを触れます。これを見つけて適切に治療していくと、がんこな肩こりも必ずよくなっていきます。

筋肉をないがしろにするなかれ。筋肉は神経と複雑に連絡していて、手足の多くの痛みに関与しているのです。